ハワイの経済を支えたメイドインハワイ
1935年に初めてアロハシャツの新聞広告を出したのは、ホノルルの服飾店、ムサシヤ商店。その2年後に、中国系商人のエラリー・チャンがアロハシャツを商標登録したということは明らかになっている。しかし、誰が最初にアロハシャツを作ったかは不明だ。アロハシャツの起源には諸説ある。19世紀終盤から20世紀初頭に、砂糖きび畑で働いていた日本人移民が、ヨーロッパの船員が着ていたパラカという開襟シャツをまねて、持参した着物を再利用して仕立てたという説が有力だ。その後、派手な和柄の開襟シャツをアロハシャツと呼び、着用が定着したと考えられている。
50年頃には、アロハシャツ産業が砂糖やパイナップルに次いで3番目の産業となり、ハワイの経済を支える黄金時代を迎えた。当時、精巧でカラフルな生地を染める工場がハワイになかったことから、アロハシャツの生地は、第二次世界大戦前後は多くが日本で作られていた。日本と深い係わりをもつ、ハワイ伝統文化のアロハシャツ。黄金時代のブランドの多くは姿を消したが、新しい流れも生まれている。ハワイのお洒落の軸であることは、今も変わらない。
右は、プランテーション時代にヨーロッパの船員が着ていたパラカシャツの復刻版。左は、ハワイの人々の生活をモチーフにしたランド・オブ・アロハ(ヴィンテージ)。女性がレイで出迎える様子をはじめ、カメハメハ大王、ウクレレや植物などが描かれている。
ヴィンテージアロハシャツ専門店コナベイ・ハワイ
2001年にハワイ島に設立された、アロハシャツブランド。オーナーのKC木内氏は、ヴィンテージアロハシャツのコレクターであり、希少価値の高いアロハシャツを約250枚所有している。黄金時代のハワイの文化を今によみがえらす目的で、日本で染めた生地を用いてヴィンテージアロハシャツの復刻版を発売している。
「144号掲載」