解体の危機に直面した国指定の歴史的建造物
ホノルルのダウンタウンの中心地にあるのが、ネオクラシックな建物として知られるハワイ・シアターだ。正面玄関から建物を見上げると、“HAWAII”の上の柱頭には、アカンサス(ノアザミ)の葉を装飾した、古代ギリシャのコリント様式が見られる。かつて“太平洋のカーネギーホール”と称賛されたハワイ・シアターは、1922年のオープン以来、ハワイの娯楽、文化、芸術の中心として幅広い客層から人気を得ていた。
しかし、オアフ島の開発が進み、各地に映画館などの娯楽施設ができたことや、ダウンタウンの凋落とともに人気が低迷、84年に閉館に追い込まれた。閉館後は設備の老朽化から解体の危機に直面したが、3200万ドルの寄付を集め、10年間に及ぶ改築工事を経て、内装は96年に、外装は2004年にかつての輝きを取り戻した美しい姿で再生を果たした。客席は馬蹄形にレイアウトされ、ヨーロッパの劇場のような趣がある。現在ではコンサートをはじめ、バレエ、オペラ、ファッションショーなど、世界中のパフォーマーの公演が行なわれている。館内ツアーがあり、ハワイシアターの歴史や文化、そして、美しい建築に触れることができる。
ダウンタウンの美しきランドマークとして存在感を発揮するハワイシアター。日本の歌舞伎や能、狂言なども公演された。1978年に合衆国と州から歴史的建造物の指定を受ける。
ハワイ・シアター(Hawaii Theatre)
「144号掲載」