ダウンタウンは、若い才能が集まるエキサイティングな町
ダウンタウンは、歴史ある建物が並ぶ美しい町。かつて夜はひっそりとしていたダウンタウンだが、今や、多くの新しいレストランがオープンし、夜も人々が繰り出すエリアに変化しつつある。そんななか、2013年にオープンした新感覚のベトナム料理店ピッグ&レディが、17年度ハレアイナ・アワードのベストレストランに選ばれ、話題になった。ピッグ&レディのオーナーシェフ、アンドリューは、ハワイ大学でアートを専攻したが、学生時代にレストランでアルバイトしたことから料理に興味をもち、いくつかのレストランで経験を積んだ。そののち、一念発起してニューヨークのカリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカに入学。卒業してハワイに戻り、さらに、シェフ・マブロで6年間フランス料理の修業を積んだ経歴をもつ。アンドリューに、ダウンタウンにレストランをオープンした理由を聞いてみると、「この店を見に来た時に、まず、目を奪われたのが、建物の美しさ。レンガの壁や天井の高さが気に入ったし、キッチンもあって改装の必要もなかったから、ここに決めたんだ。でも、最初は、ダウンタウンでベトナム料理店を始めることに不安はあった。だって、近所にはベトナム料理店がたくさんあり、どの店もおいしいし、しかも安くフォーを提供していたからね」
しかし、そんなアンドリューの心配は杞憂に終わる。店がオープンすると、瞬く間にダウンタウンで働く人々のあいだで評判に。噂が広がり、連日、店は大繁盛といううれしい結果となった。「ピッグ&レディのレディは僕の母。僕は彼女の子豚、というわけさ。だって、僕のベトナム料理のベースは、家族のレシピで母から学んだものだから、この店名にしたのさ。ベトナム料理はフランス料理の影響を受けているから、店で提供するメニューにはそんなエッセンスも反映されているよ」アンドリューにダウンタウンの魅力を聞いてみると、「ダウンタウンには、若い才能をもつシェフやショップオーナーが集まってきている。僕は、マニフェストでコーヒーブレイクをしたり、ちょっと変わったアンティークショップのハウンド&クエイルをチェックしたり、あとホームカミングで買物もするよ」アンドリューがレストランをオープンした理由のひとつが、ベトナム移民の家族を経済的にサポートすること。母の家庭料理のレシピを提供できるレストランは、その理由から最適だった。家族思いのアンドリューの夢は大成功したといえる。レストランの前身となったファーマーズマーケットやフードイベントには、今でも出店を続けている。家族の味を大切にする、今後の彼の活躍がますます楽しみだ。
PROFILE
アンドリュー・レー(Andrew Le)
ピッグ&レディのオーナーシェフ。数々のグルメ賞を受賞する注目のシェフ。2017年、ワードセンターに2号店となるピギー・スモールズをオープンした。原
点となったKCCなどファーマーズ・マーケットにも、出店している。
ピッグ&レディ(The Pig and The Lady)
母の家庭料理を基本とした新鮮な創作ベトナム料理
一番人気のP&Lフォー・フレンチ・ディップ$17。
放牧牛のスライス入りフォー・バック$16。
チキンウィングを二度揚げしたLFCウィング$14。
お洒落でモダンな店内。
チャイナタウンに近いノース・キングSt.沿い。
ガラス窓に描かれた子豚のイラストとサインが目印。
「144号掲載」